【短編】ちょっと激しく、もっと甘く。
甘ったるいよね、わかってる。
ある晴れた日の午後、部屋のソファーで寛いでいると、廉がにこにこしながら私に近づいて来て、隣に座った。
優乃、知ってる?
チョコが口の中でとろける快感は、
キスの4倍なんだって。
そう言って廉は、私にチョコレートを差し出した。
「え?何?」
「試してみようよ。ほら。」
私はきらきらとした廉の眼差しに負けて、チョコレートを口に含んだ。
「どう?」
どう?って言われても、普通に美味しいチョコレートなんだけど。
それ以外の何物でもないんだけど。
「んー、別に。普通に美味しい。」
そう言うと、廉はちょっと不機嫌そうな顔になった。
「俺が聞きたいのはそういうことじゃなくて。」
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