【短編】ちょっと激しく、もっと甘く。
「キスよりも気持ちいい?」
そう言うと、廉は私の顔を覗き込んだ。
結構顔が近くて、心臓がどくんと鳴った。
「うーん、よくわかんない」
私がそう言うと、廉はさらに不機嫌そうな顔をして、私の手から雑誌を奪いソファーに押し倒した。
「ちょっと廉、重い」
自分の大きさや重さを、きっと廉はわかっていない。
「そこはさ、嘘でも俺とのキスのほうが気持ちいいって言ってよ。」
うわ、拗ねてる。
こんな状況で考えるのもどうかと思うけど、私は廉の拗ねてる表情がすごく好きだ。
普段は大人っぽいのに、こういうときだけ子供みたいになる。
「なんで笑ってんの。」
「笑ってないよ。」
廉が可愛いからなんて言ったら、きっと怒るんだろうな。