【短編】ちょっと激しく、もっと甘く。


「キスよりも気持ちいい?」

そう言うと、廉は私の顔を覗き込んだ。
結構顔が近くて、心臓がどくんと鳴った。


「うーん、よくわかんない」

私がそう言うと、廉はさらに不機嫌そうな顔をして、私の手から雑誌を奪いソファーに押し倒した。

「ちょっと廉、重い」

自分の大きさや重さを、きっと廉はわかっていない。



「そこはさ、嘘でも俺とのキスのほうが気持ちいいって言ってよ。」


うわ、拗ねてる。


こんな状況で考えるのもどうかと思うけど、私は廉の拗ねてる表情がすごく好きだ。

普段は大人っぽいのに、こういうときだけ子供みたいになる。

「なんで笑ってんの。」

「笑ってないよ。」


廉が可愛いからなんて言ったら、きっと怒るんだろうな。





< 2 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop