僕が男になった理由
「席につけ」
ようやく来た。
さっさと下らない時間を終わらせてくれ。
こっちは眠いんだ。
愚民の名前なんて覚えてないし興味もない。
「小堀」
「…はい」
いちいち一人一人の名前を呼ぶな。
めんどくさい。
始まって5分弱
めんどくさいHRが終われば好きな場所に行ける。
この高揚感は好きかも知れない。
早くしてくれ。
この高揚感を潰さないで欲しい。
端から見れば子供の我が儘に聞こえる。
僕としては我が儘でなく、ただ、時間を有意義に過ごしたいだけなのだ。
「以上、今日も元気に過ごすように」
えぇ。
今日も元気に有意義に過ごしますよ。
ただし授業ではないけどね。
嫌な景色に一時の別れを告げる。
いつも空っぽになる座席には少し罪悪感はある。
でも僕にはここに居たくない理由はちゃんとある。
だから罪悪感を掻き消していつもの場所へ向かう。
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