僕が男になった理由



 「嘘…」



 冬麻と出掛けるから卸したヒール。



 真新しいのに折れてしまったヒールにただ驚いた。



 「琉依大丈夫?」


 「大丈夫…」


 「あ、ヒール折れちゃったか〜代えの靴を用意しないとだね?」



 そうか…代えの靴。



 「琉依さんですか…?」


 「は…い…」



 僕を見上げたその人の顔に驚いた。



 驚いたと言うよりはただ見惚れてしまった。



 「こちらで代えの靴を用意しましょうか?それとも直しますか?」


 「琉依どうする?」



 僕はその人の声も冬麻の声も聞こえてなかった。



 ただ見惚れたその顔を見ていた。



 「琉依?」


 「あ、ごめん冬麻…」











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