僕が男になった理由

　｢でも今日は見るだけにします｣


　｢なんで？｣


　｢あまり自分の為には出費を重ねたくないので｣


　｢…そっか｣


　｢だから、もっと自分の力で稼げる様になったら買うんです｣


　｢偉いね｣


　｢…そんなことないです…ただまだ子供だから｣



　僕はまだ子供だから自分の意思を貫けない。



　だからもどかしい。



　｢すいませんお手洗いに行きます｣


　｢うん｣



　少し冷静になろう。



　いくらなんでも高揚感を持ちすぎた。



　そして興奮し過ぎて若干頭がクラクラする。



　自分の首元を探る。



　あった。



　冬麻とお揃いのイルカ。コレを掴むと安心する。



　もう大丈夫。











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