和久井さん、さんじょー
海、私は屋台。
ジューッッ
ジューッッ
………
…今何してるか、だって?
焼いてるのよ。
肌?ちがう、ちがう。
…とうもろこしをねっ!
そうなんです、私いま焼きとうもろこし屋の屋台でとうもろこし焼いてます。
椎月と。
戻ること、今朝…
「あはは!華ったら散々だね!」
「だって海なんて聞いてないしっ」
「あー…テスト勉強で忙しかったもんねぇ」
「あ、その期間かあ!でも想くんは何で知ってるの?」
「え?知ってないよ?」
「え、んじゃなんで水着もってるの?」
「へ?あ、だってさっき椎月に借りたからっ」
「ああ、だからそんなハデハデなのかあ」
「うん、恥ずかしいよー」
「あはっ可愛い、南里。」
「もうっ叶ちゃんっ」
ん…大切な事忘れてね?
「椎月がいること知ってたんだあ、びっくりさせよーと思ったのに。」
頬をぷくっと膨らませ、可愛いミニゴムで縛ってある赤い髪をゆさゆさ揺すってる。
…てのはどうでもよくて…。
「嘘っ椎月きてんのっ?」
「え、うん。え、知らなかった?えー驚かそ…」
ブツブツ言い始めた…
「あ、華。水着忘れたこは、先生の知り合いの焼きとうもろこし屋台を手伝わすみたいよ?」
「あ!椎月、焼きとうもろこし屋台やるって言ってた!」
「…マジかよ、椎月と?」
どーせ、椎月のことだから女の子ナンパしてるから仕事しないだろ。
…はあ。
というわけで今に至ります。
「そこのこー!焼きとうもろこし買ってかねぇ?」
「わ、イケメンっ買いますぅ」
…女の客しかこねぇのは気のせいか?
「華ちゃーん!Speed up!」
「あい きゃんと すぴーどあっぷっ」
「ぶっ!発音っ!あはっ!ぶっ!」
う、うざ!
…無視無視。
「あ、華ちゃん怒った。」
そりゃ怒るわ。
「ねー」
「…」
「ねーねー」
「……」
「ねーねーね…」
「わかった!うるさい」
「やたっ」
はあ…
「てかなんで椎月いるの」
「んー?知り合いに呼ばれたからあ!」
「ま、まさかうちの担任…?」
「せーかいっ」
マジか…
「…もういい、どーでもいいや。はやくとうもろこし売ろう。」
「はいはーい」
…本当散々な南国旅行…