和久井さん、さんじょー
梶くんの望み
僕は梶和泉。
僕には絶対言えない【秘密】がある。
これを知ったなら…現実世界に居させてあげられないくらい。
トップシークレットなんだ。
僕は感情が苦手だ。
人の感情をどうとらえればいいのかがわからない。
ただえさえ自分の感情も処理しきれていないのに、ね。
まぁそれは置いといて。
…彼女は変わった。
僕が読み込んだデータより遥かに成長していたんだ。
いや、成長、したのかも。
僕が知っている「和久井華」ではなかった…
だからか。だからこんな意味のわからない気持ちに…
苦しいし、悲しいし、嬉しいときもある。
でもそれがごちゃごちゃに混ざって…よくわからない。
はやく処理しすぎるとまた倒れるかな…?
それはもうゴメンだ。
後、彼女は僕の元の人を知っていた。
なぜだろう。
“蘭藤水紀”
彼には会った事はないが、華と関わりがあるかも知れない…が、聞けないから。彼が…目覚めないから…。
僕の望みはもう決まった。
「理事長、蘭藤水紀を目覚めさせ、僕と話させてください。」