和久井さん、さんじょー
side聖一
…男の格好したの、久しぶりだな
と、いうか…あの医者なんだ?
急にこんなこと…
ガラッ
病室のドアを開けた。
朝早いからか、彼女はまだ寝ている。
「起こしちゃ…悪いし」
それから数分彼女を眺めてた。
まだ起きる様子はない。
「…可愛いなぁ」
俺は…彼女が好きだ。
今から彼女を奪ってしまいたいほど。
…
「華ちゃん…好きだよ」
いつの間にか、想いが口から出ていた。
「っ…」
ハッとして、口を押さえたが…
大丈夫、彼女はまだ寝ているみたい。
彼女は自分がキスされるのを知っているそうだ。
単純で純粋な華ちゃんに、あの医者が
「きっと皆にキスされれば思い出すわ!皆に頼んどいたから!」
とかなんとかいったらしい。
なのに…
「君は無防備すぎるよ」
頬を触った
「ん、…んん。むにゃ…」
…深い眠りについてるみたいだ
「俺は…そんな上手く出来た男じゃないよ?」
そんな制限できる男じゃぁない。
まぁこーんな可愛いこ、目の前にして襲わないなんて不健全過ぎだよね
「俺を惚れさせたんだ…覚悟、してよね」
「華ちゃん…」
ぐいっと顎を上げた。
「好きだ」
想いを伝えた瞬間、重ねた唇。
甘い香りが鼻孔をくすぐる。
「んん…」
「ん…、…じゃぁね華ちゃん」
俺は病室を出た。
「…思っているより、彼女にハマっているみたいだ、な…」
静かな廊下にそう呟いた