【完】ヒミツの恋を君と。
でも晴は、あたしに秘密の欠片も見せようとはしない。

晴はあたしに心を開いてくれてないんじゃないかなって、そんな風に感じる時がある。




毎朝一緒にいたいからと、一方的に押しかけてたのはあたしだし。

くっついていってるのはいつでもあたしの方からだから。




自信ない。

メルアド聞いても、なんで教えなきゃいけないのみたいな顔されたら、あたし結構落ち込むと思う。




まだ出会って数週間だけど、あたしは晴に心を開いてしまってるから…。






「新しいバイト?モカくんっていうの?」


「モカくんかわいいっ!」


「モカく~ん。あたし達よく来るの。よろしくね」




「は、はいよろしくお願いします!」





すごい!すごい!すごい!


今、モカ(男)のあたし。



トウヤさんにウイッグの着け方を教しえてもらって、変身を済ませ、店に出てきて驚いてしまった。


お客さん(もちろん全員女性)がみんな、あたしを見て「かわいい!」と褒めてくれる。




どうしよう!顔がニヤけちゃう!

だって、人生でこんなにちやほやされるのって初めて!




もちろんお客さんたちはあたしを男だと思い込んでるけど、彼女達に「かっこいい」じゃなく「かわいい」と言われるのは、周りのイケメン達に比べたら、背は低いし、顔も女の子みたい(本当は女なんだけど…)だからだと思う。


< 102 / 499 >

この作品をシェア

pagetop