【完】ヒミツの恋を君と。
春……春が目の前にいる。




大好きで、大好きで、大好きで…。

自分の感情のコントロールすら出来ないほど好きになってしまった人が目の前にいる。





「やっぱ吉丘だよな!」


「あ……」





思わず、否定するかの様に首を横に振っていた。

例え、以前のあたしと身なり格好が変わっていたとしても、思わず春の名前を口にしてしまった今、そんなことが通用するはずもないのに…。



否定をしたあたしを見て、春は怒った様な、悲しい様な、そんな表情をする。


その表情が目に入って、あたしの胸は、えぐられるほどの痛みを感じた。





「なぁ、何でこんな所にいんの?……その制服ってここら辺の学校?ここに住んでるのかよ?」


「……」


「『親の海外転勤が急に決まってそれに着いて行った』って先生が言ってたけど?それは嘘なのかよ?」


「……っ…」





春の表情が、寂しげに揺れる。

切なそうに吐き出される言葉に、胸の痛みが増していく。



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