【完】ヒミツの恋を君と。
「なんで俺と、春華から、逃げるんだよ?」


「……」





春はあたしの気持ちに気付いていない。


だから、あたしが逃げてる理由が分からなくて困惑してるんだと思う。


でも、言えない。
言える訳がなかった。


本当は最初から分かってた。

春はあたしのことは『吉丘』って呼ぶけど、春ちゃんのことはいつの間にか『春華』って呼ぶようになってたから。





「俺はいいから、春華には連絡してやって!あいつほんとに参ってるんだよ」





春の口から春華って言葉を聞きたくない。

そう思うあたしの心は嫉妬で完全に汚れてる。





「俺、春華のことが心配で……」





春に掴まれてる腕が痛い。

痛いよ……もう、無理……。


俯いたままで目をギュッと瞑った。




……その時。

ダンっ!という大きな音が響いて、びっくりして顔を上げた。


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