【完】ヒミツの恋を君と。
数秒の沈黙が流れた後、春が口を開く。
「…分かった」
沈んだ春の声が、晴の向こうから聞こえてくる。
そっと覗くと、それだけ言い残した春が駅の改札の方に向かって行く後姿だった。
その後姿を見ながら、胸が痛くなる。
あたしはいつ春と春ちゃんに会いに行けるのかな?
春が人ごみに消えていく。
春、春ちゃん……
「…ごめん……ね」
届かないけど、その後姿にそっと呟いた。
晴がその言葉に反応する様に、あたしを振り返る。
「……あ…晴…」
「……」
目が合ったその顔は、不機嫌そうに歪んでて。
「変なことに巻き込んで……ご、ごめんね…」
まだ、春に会ってしまった動揺が収まらないあたしの声はかなり震えてる。
晴の眉間のシワがよりいっそう濃くなって、あたしに一歩近付いた。
「ごめんね。じゃねぇよ!男にぶつかって絡まれてると思ったら、逃げ足遅そいし!歩いてんのかと思ったよ!」
「ご、ご、ごめんなさい!」
「逃げる時はもっと必死で走れ!」
「は、はいっ!」
晴はあたしの逃げ足が遅いことに怒ってるの!?
聞きたいけど、聞ける雰囲気でもなく、ただただ謝るだけのあたしの頬を晴がムニっと引っ張った。
「それに!」
「は、はひぃ…」
「俺には『ごめんなさい』じゃなくて、『ありがとう』って言え!」
「ふへ?」
「…分かった」
沈んだ春の声が、晴の向こうから聞こえてくる。
そっと覗くと、それだけ言い残した春が駅の改札の方に向かって行く後姿だった。
その後姿を見ながら、胸が痛くなる。
あたしはいつ春と春ちゃんに会いに行けるのかな?
春が人ごみに消えていく。
春、春ちゃん……
「…ごめん……ね」
届かないけど、その後姿にそっと呟いた。
晴がその言葉に反応する様に、あたしを振り返る。
「……あ…晴…」
「……」
目が合ったその顔は、不機嫌そうに歪んでて。
「変なことに巻き込んで……ご、ごめんね…」
まだ、春に会ってしまった動揺が収まらないあたしの声はかなり震えてる。
晴の眉間のシワがよりいっそう濃くなって、あたしに一歩近付いた。
「ごめんね。じゃねぇよ!男にぶつかって絡まれてると思ったら、逃げ足遅そいし!歩いてんのかと思ったよ!」
「ご、ご、ごめんなさい!」
「逃げる時はもっと必死で走れ!」
「は、はいっ!」
晴はあたしの逃げ足が遅いことに怒ってるの!?
聞きたいけど、聞ける雰囲気でもなく、ただただ謝るだけのあたしの頬を晴がムニっと引っ張った。
「それに!」
「は、はひぃ…」
「俺には『ごめんなさい』じゃなくて、『ありがとう』って言え!」
「ふへ?」