【完】ヒミツの恋を君と。
次の日、春と春ちゃんに、逃げたことを謝った。





『…告白を見てびっくりしちゃって、思わず逃げちゃった!』





なんとか笑顔を作ってそう言ったあたしの言葉を、春は信じて笑い返してくれたけど、春ちゃんの表情は曇ったままで…。





『春ちゃん、あたし本当に春の事は好きじゃないんだよ』





後で、2人になった時にそう言っても、春ちゃんは俯いたまま、何にも言わなかった。





このまま、元の3人に戻りたかった。

でも、あたしの心は回復してくれるどころか、2人の姿を見るたび落ちていく一方で…。




あたしは少しずつ2人を避ける様になってた。




3人共違うクラスだったから、あたしが2人を避け始めても、周りにはほとんど気付かれなかった。




でも、休み時間も2人に会いには行かず、小説や漫画読んで、二次元にハマってるふりして、誰も寄せ付けないオーラを出してるあたしを、春と春ちゃんは変だと思ってたと思う。




本当は本の内容なんて頭の中にほとんど入ってこなかったのに…。


とにかくすべてを忘れたくて、読んで読んで読み続けてた。





あたしを嫌いになってくれてもいいって思ってた。


あの告白の日から数週間経っても、付き合っている様子のない2人。


噂で、春ちゃんが春をフッたことを知った。





きっとあたしが傍にいると、春ちゃんはいつまでも春の気持ちに素直にはなれない。


春ちゃんと春が、あたしの一番大切な2人が、幸せになるならそれが一番いい。


そう思ってた……。




……ううん、違う。


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