【完】ヒミツの恋を君と。
そう思わなきゃ、あたしは自分の心の闇にに押しつぶされてしまいそうだった。




本当は春ちゃんに嫉妬してた。

本当はこの期に及んで春の心をどうしても欲しいって思ってた。




春が春ちゃんに笑いかけるのを見たくなかった。

これからも春があたしを見てくれることはない。そのことを日々の生活で確信していくのが辛かった。






本当の本当は付き合って欲しくないって思ってた。

そんな真っ黒な心の自分がどうしても許せなかった。







───時間が流れて、2年に上がる前にお父さんの転勤が決まった。



先生には、『親の海外転勤に着いて行った』って嘘言ってもらって、春にも春ちゃんにも何にも言わずに逃げる様に転校してきたあたし。







「……これがね、あたしと春と春ちゃんとのこと」





晴に、過去の事を全部話したあたしは、下を向いたまま、顔を上げることが出来なかった。




あたしの過去、気持ち、すべて知られたら、晴に嫌われるかもしれない。


そう思うと、晴の顔を見ることは出来なかった。






「…本当に、最低なんだよあたし。自分だけ、辛い場所から逃げるのに必死になって。こんな風にあたしが逃げたら、そのあと、春と春ちゃんがどうなるかは想像出来たのに……」






思い出す、さっきの春の言葉。





『……俺よりも、春華の方が、ボロボロになるまで悲しんでるよ』




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