【完】ヒミツの恋を君と。
「春ちゃんは今自分を責めてると思う。あたしが消える様にいなくなったのは自分のせいだってきっと思ってる」


「……」


「そんな風に思ってる限り、春ちゃんがどんなに春のことが好きでも、あたしのことを思って春と付き合ったりはしない」


「……」


「春ちゃんがそういう優しい子だっていうのを分かってたのに……あたしは逃げた」


「……」






胸が張り裂けそうなほど痛い…。


ごめんね、春ちゃん。




そして、なんにも言わないあたしを悲しそうに見つめてた春の顔が頭に浮かぶ。


春はあたしの友達で。

髪形が変わっても、眼鏡を掛けてなくても、あたしだってすぐ分かってくれるほど、ずっと一緒にいた友達。



それなのに今日、あたしに嘘吐かれてたことに気付いて、あたしに逃げられて、怯えられて……悲しかったと思う。




ごめんね、春。


そして、ごめんね、晴。




『お前が俺に重ねてたのって、あいつだったんだな?』




さっき晴が言った言葉が胸に痛い。


あたしは最初、春を忘れるために、晴を利用した。





「……晴、ごめんね」





でも、今は本当に晴のことが大切なの。




だけど、最低な自分を全部晴に知られてしまった。

晴が今どんな顔してあたしを見てるのか、見上げるのが怖い。




でも、あたしはもう逃げちゃダメなんだ。


たとえ、今日すべてを話したことで晴に嫌われたとしても、晴のことを失いたくなかったら、晴にちゃんとぶつかっていかなきゃならない。


強くならなきゃならない。





「ごめんなさい晴……でも、嫌いにならないで……」





弱くて、最低なあたしだけど、お願い、嫌いにならないで。



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