【完】ヒミツの恋を君と。
晴───




気付けば、晴の背中に手を回して自らその温もりを強く求めてた。

胸の中に包まれたまま、晴の声が落ちてくる。





「お前にとってはもう、“春”の事は過去なんだな?」


「へ?」


「さっきの話は、お前の気持ちの辛さより、“2人の春”が付き合えてない事実を心配してるように聞こえたよ」


「…え?」





晴の言葉に、初めて気付かされた。



そうなのかも知れない。

でも、いつの間に…?

転校するまではあんなに辛かったはずなのに…。




春のことが過去になる日。




今まで、そんな日が来るなんて思った事もなかった。



晴の制服のシャツをギュッと握り締めた。

もし、あたしが春を過去にすることが出来てるなら、それはきっと…。

きっと……。





「晴……もう少しこのままでもいい?」


「…あぁ」





もう少し、晴の胸の中にいたい。

その胸の中を、居心地いいと思ってしまう自分に頬が熱くなっていく。

こんな風に思う気持ちもきっと…。





「…晴、ありがとう」





きっと晴が傍にいてくれたから、あたしは春を過去に出来た。




体中が熱くなっていく。

晴の体にも伝わってるかもしれない。




あたしの中で、少しずつ気付き始めてた感情が、一気に溢れ出した。






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