【完】ヒミツの恋を君と。
昨日の夜、寝たあたしを置いて帰らなかったのも、起こさなかったのも、それは晴の優しさ。


きっと家の人に怒られる。

勉強時間も奪ってしまった。


それを責めるどころか、あたしを心配してくれる晴に胸の奥がギュってなった。





「うん、もう大丈夫!」




拳を作ってそう言った私を見て晴は頬を緩める。

胸のドキドキが止まらない。





「じゃぁ俺、学校行く前に一旦家に帰るわ!後でまた屋上でな」


「あ、そっか…」


「ん?」


「また少し経ったら晴に会えるんだね」





その事が嬉しくて、思いっきり頬を緩めたあたしを見て、晴は少しびっくりした表情をした。





「晴、昨日は話を聞いてくれてありがとう」





晴がジッとあたしを見てから、頷いた。





「晴に聞いてもらえて、胸の中のもやもやが少し晴れたきがするの」


「…そ」


「思いっきり泣かせてくれてありがとう」





泣いてる時、傍にいてくれてありがとう。





「晴、あのね。あたし、今度の休みの日に、春と春ちゃんに会いに行ってくる」


「そっか」


「…あのさ、それで、晴にお願いがあるの」


「え?」


「会いに行く日の朝、少しだけでいいからあたしと会ってくれないかな?」


「……」


「いや、あの……晴なら発破(はっぱ)を掛けてくれるかなって思って…」





本当は、晴の顔が見たいから。

晴の顔を見ればあたしはきっと落ち着いて2人に会いに行ける。





「……」





あたしの言葉を聞いた晴は何かを考えるように無言になる。


その姿を見て、あたしは焦って口を開いていた。



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