【完】ヒミツの恋を君と。
今日は平日だけど創立記念日であたし達の学校が休みだった。





「お前さ…メールの一本も入れないで急に会いに行って本当に会えるのかよ?大丈夫なの?」


「…あ、あたしだってメールしようと何度も思ったけど……」





なんて書いていいか分からなかった。


あんな酷い逃げ方して、いきなりメールや電話で話すっていうのもなんか間違ってる気がするし。





「やっぱり顔見てきちんと謝る方が先だって思ったの」





あたしの言葉に、晴は何にも言わなかった。


晴は数日前に約束した通り、今朝、駅であたしと会ってくれた。



『行く!』といき込んでは見せたものの、実際はどうしようもなく怖くてなかなか出発を出来なかったあたしは、気づけば晴の腕を掴んだまま改札を通過してた。



そのままずるずるとこんな所まで付き合わせてしまってるダメなあたし。


隣で歩く晴は私服。



デニムのズボンに、黒と白の薄手のTシャツを重ね着したシンプルな格好。

髪型は、イケメンバージョンのワックスでばっちり決めた髪形でも、オタクバージョンの寝ぐせヘアでもなく、ナチュラルな感じ。

眼鏡も掛けてなくて




トータルしてシンプルな格好の晴。




かっこいいけど、プレシャスにいる時みたいにオーラが出てないから、電車でもキャーキャー言われることはなかった。





オタク・イケメン・シンプル。

3パターンある晴の姿。




今日の格好が一番素に近い様な気がする。




「腹減った。後で飯おごれよ」


「う、うん!わかってる!明日の朝ごはんもあたしが全部奢るから!もうちょっと、もうちょっとだけ着いてきてね」


「……」



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