【完】ヒミツの恋を君と。
手を振ってから、正門に向かって走り出す。

晴に向かって走り出す。





「晴!お待たせ!」


「……腹減った、帰るぞ!」





不機嫌そうな顔して正門にもたれてた晴が、体を起こしてあたしの頭をポンとしてから歩き出した。


表情とは一致しないけど、その手は確かに優しさを帯びていて、あたしの胸はじわっと熱くなっていく。





「何にも聞かないの?」


「お前の表情見てたら大体分かる」


「あたしフラれてきたよ。春ちゃんは今、告白してると思う」


「そ」





視線を前に向けたまま、晴は表情変えずにそう言った。





「そう言えば春って、晴に気づいてなかったみたいだね」


「あぁ、さっき目があったけど、俺だって気づかなかったみたいだな」



「そりゃそうか。この間駅で会った時は、晴はオタクバージョンだったもんね」





そう言ったあたしを更に不機嫌になった顔が見下ろす。





「オタクバージョン?」


「はっ!」




しまった!声に出して言ってしまった!!


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