【完】ヒミツの恋を君と。

彼女と彼

「わぁ…本格的に振ってきた」





梅雨の時期特有の湿った空気の匂いを感じながら、あたしは窓の外を覗いていた。

今は2限の普通より少し長めの休み時間中。


あたしは教室じゃなくて、普段人の来ない北校舎の廊下に来ていた。


廊下の窓を開け放して、小説を読んでるとポケットの中の携帯がメール受信を知らせる。




「あ、春ちゃんだ!」




はしゃいだ声の独り言が廊下に響く。

春ちゃんと春には、あの日帰ってからメールでアドレスを教えた。




《春にデートに誘われたけど、どんな服着ていったらいいと思う?》




頭を抱えてるキャラの絵文字付きのメールに春ちゃんの深刻さが伝わってきて思わず笑ってしまった。


私服を春に見せるのなんて初めてじゃないのに、何をそんなに真剣に考えてるんだか。



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