【完】ヒミツの恋を君と。
本当、カスミ様の言う通りで、晴が普段お客様に必要以上触れてるのを見たことがない。


“店長推奨イケメンの給仕”も、晴だけ勝手に“晴流あまり触れないバージョン”にアレンジしてたりする。




「…お前、大丈夫かよ?」




ふいに聞こえてきたボリュームを押さえた低い声にビクッと反応した。


それは晴の声で、お客様が帰ったテーブルの後片付けをしていたあたしの正面に立って、周りに聞こえない様に顔を近付けてきていた。


あたしはテーブルを拭いたまま、顔を上げずに頷いた。




「うん、ごめん…さっきはありがとう」




どうしよう、近過ぎてドキドキする。

顔が赤くなってるかもしれない。



気まずくて何か言おうと考え始めた時、真後ろからお客さんの声が聞こえる。




「ハルくんとモカくんはホント仲良し」

「ハルくんが自分から触れに行くのってモカくんだけだもんね。羨ましい~」




その言葉に小さな溜息が零れた。
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