【完】ヒミツの恋を君と。
取り返そうと本に向かって手を伸ばしたのに、晴が片手であたしの頭を押し返すから、手が届かない。



ひ、酷い扱いじゃない?

これでもあたしは女の子ですが?



怒りを込めてジタバタしてるあたしを無視して、晴がグラタンレシピ本のページをパラパラめくる。





「うまそう…食いたい。腹減ってきた」


「えっ!?さっきあんなに食べてたのにまたおなか空いたの?」


「グラタンは別腹って言うだろ?」





そんなの聞いたことない。

でも、晴がそれくらいグラタンを好きなことは知ってる。


だからその本を買ったんだよ…。


晴はジタバタしなくなったあたしの頭から手を離した。





「…お前が作るの?料理出来ないって言ってなかった?」


「う、うん…でも練習しようかと思って…ね」


「ふーん誰かに作ってやるの?」


「えっ!?」




答えを求めるように、ジッと見つめられて、あたしの頬は瞬間発火する。


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