【完】ヒミツの恋を君と。
お客さん達の間で勝手に作り上げられてる、晴とあたしのデキちゃってる設定。


でも今はそれがきつい。




「ねぇモカ、俺、ハルに殺されるかもー」




内容は物騒だけど、なんだか楽しそうなトウヤさんの声を聞いて顔を上げると、目の前に怖い顔をした晴がいた。




え?なんで怒ってんの??

お、お、怒ってるのはあたしの方なんですが!?




もしかして、美月先輩に会ってしまったから?





不安感が襲ってきて、思わずトウヤさんの腕をギュッと握って後ずさりすると、後ろから抱き付いてるトウヤさんもあたしに合わせて後ずさりをする形になって…。




そんなあたし達を見た晴は、今度は眉をピクッと反応させた。



その後、バツが悪そうに視線を泳がすけど、あたしの前から去ろうとはしなくて、何か言いたげで…。




晴は、あたしに視線を戻して、一度大きく息を吸った。



晴は今から何か言う。

きっと今朝のこと。



そう思うと、落ち着かなくなる。




「あのさ……」


「あ!店長っ!それボクが運びますっ!」




晴の言葉を聞く前に、店長に向かって叫んでた。

トウヤさんの腕をすり抜けて、店長の方へ早足で向かっていく。




「えっ!?いいけどモカ!このお皿は絶対に落とすなよ?ジノリだからな!」


「大丈夫です!ボク、ジブリは大好きですから割ったりしません!」


「ジブリじゃねぇ、トトロの皿じゃねぇぞ。ジノリだ!」




晴の視線を横目で感じたけど、見上げることが出来なかった。


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