【完】ヒミツの恋を君と。
もういろんなことから逃げたりしないって決めてたのに…。
「じゃぁな、ハル、モカ、またまた明日ー」
あたし達を残して先に帰ろうとしたトウヤさんのシャツをあたしはしっかり掴んで止めてた。
「え?モカ?」
「い、い、一緒に帰りましょうよ」
「……」
トウヤさんの方を向きながらも、左目に入る晴の姿に全神経が集中してて。
晴が大きな溜息を吐くのが分かった。
う、どうしよう……。
そんなあたしと晴をトウヤさんが交互に見てから、あたしの髪に触れた。
「モカ、髪ぐちゃぐちゃだよ?」
「え?あぁ…」
「あ、今は“モカ”じゃないよね?“桃佳”だ。はい、桃佳かわいくなったよー」
「あ、はい…ありがとうございますです…」
トウヤさんがウイッグで乱れたままだったあたしの髪を手ぐしで直してくれた。
そんな間も、あたしの全神経は左側に集中してて。
トウヤさんの言葉はあんまり入ってこなくて生返事ばかりしていた。
「じゃぁ、桃佳、帰ろっか?」
「え……あ、あ、はい」
トウヤさんに促されるまま歩を踏み出そうとしたあたし。
でも左から伸びてきた手によって、手首をぐいっと強い力で引き寄せられた。
「じゃぁな、ハル、モカ、またまた明日ー」
あたし達を残して先に帰ろうとしたトウヤさんのシャツをあたしはしっかり掴んで止めてた。
「え?モカ?」
「い、い、一緒に帰りましょうよ」
「……」
トウヤさんの方を向きながらも、左目に入る晴の姿に全神経が集中してて。
晴が大きな溜息を吐くのが分かった。
う、どうしよう……。
そんなあたしと晴をトウヤさんが交互に見てから、あたしの髪に触れた。
「モカ、髪ぐちゃぐちゃだよ?」
「え?あぁ…」
「あ、今は“モカ”じゃないよね?“桃佳”だ。はい、桃佳かわいくなったよー」
「あ、はい…ありがとうございますです…」
トウヤさんがウイッグで乱れたままだったあたしの髪を手ぐしで直してくれた。
そんな間も、あたしの全神経は左側に集中してて。
トウヤさんの言葉はあんまり入ってこなくて生返事ばかりしていた。
「じゃぁ、桃佳、帰ろっか?」
「え……あ、あ、はい」
トウヤさんに促されるまま歩を踏み出そうとしたあたし。
でも左から伸びてきた手によって、手首をぐいっと強い力で引き寄せられた。