【完】ヒミツの恋を君と。
あたしの両肩を強く掴む。

目の前の晴の顔が不機嫌そうに歪んで見えた。




「あいつに、顔見られなかった?」




あたしは、“うん”という返事の変わりに頷く。

あたしの返事を見て、晴は安心した様に息を吐き出した。



目の前のその顔から目が離せない、晴が殴られてたシーンが何度も何度も頭に浮かんで苦しくなってくる。


涙がボロボロ零れ落ちていく。






「…なんで?顔見られちゃダメなの?晴と友達だって知られちゃダメなの?…あの河野祐樹先輩はなんで晴を嫌ってるの?」





あたしの言葉に晴はびっくりした様に目を見開いてから、困った顔をする。

問いただしたりはしないつもりでいたけど、こんな場面を見てしまった以上黙ってられない。



晴は、祐樹先輩が、晴を嫌ってるって言った。



あたしはてっきり、祐樹先輩はオタクっぽい晴を小バカにした、嫌なイケメンの代表みたいな人なのかと思ってた。




あたしが、前の学校で、イケメンにからかわれてた様に、晴もその程度のことなんだろうって思ってた。


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