【完】ヒミツの恋を君と。
でも、あれは違う。


『嫌ってる』って言うより、『恨み』すら感じる暴力だった。


あたしが感じたのはそれだけじゃない。




「晴は、どうして逃げなかったの?やり返さなかったの?」


「……」




あたしの言葉に晴は目を逸らす。


店長が前に自慢してたよ。

以前、店にお客様に付きまとってたストーカーが乱入してきた時、暴れるストーカーを晴は一瞬で取り押さえたって。


それは中学まで空手をやってたからだって。




「それに、さっきのは喧嘩になって衝動的に殴られたとかじゃないよね?もしかして、よくこういうことされるんじゃないの?」




だって不自然だもん!顔にも腕にも傷がない。

外から見えるところには傷がないんだよ。




きっと事情を知らない人から見たら晴が殴られたなんて気付かないと思う。


これってきっと計算ずく。





でも、制服のシャツの下にはきっと殴られた痕跡が残ってる。



少し前に晴の上半身の裸を見てしまったことがあった。

あのときに見たアザを思い出す。



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