【完】ヒミツの恋を君と。
「祐樹の複雑な気持ちも分かるから…」


「…っ」




だから殴られるのは仕方ないって言うの?

どうして、一方的に晴を殴る様な、あんな人の気持ちを分かるとか言えるの?



すべてを諦めた様に見える色を失ったその目。

そんな目になるまでに、晴は一体どれだけ傷ついてきたの?




その目が一瞬強い力を持つ。




「でも、お前は、絶対に巻き込みたくない」


「……」


「お前に何かあったら、俺は絶対自分を許せない」


「…っ…」




晴、その言葉、嬉しいけど、寂しいよ。

胸の中に複雑に溢れてくる両方の感情。



無意識に手を伸ばして晴を抱きしめてた。

背中に回した手。





『普通好きなら自然と手が背中に回るもの』





そうだよ。

あたしは晴のことが好き。

どうしようもなく好きなの。




だから、だから、





「巻き込んでよ、あたしのこと」





涙声でそう言った瞬間、晴に強く抱きしめられた──



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