【完】ヒミツの恋を君と。
溜め込んだ何かを吐き出す様に話した俺に、店長は「ふうん」と興味があるのかないのか分からない返事をしてから続けた。





『じゃあ、今度はその顔に役に立ってもらえ。ここでバイトしろ』


『……は』


『卒業までの間、ここでお前を自由にしてくれるだけの金を“その顔”使って、稼せげばいい。そうしたら卒業後に家を出れるだろ?それから自由になれない間は、ここをお前の逃げ場にすればいい』


『……』


『誰の物でもない、お前のその顔はおまえ自身のものなんだよ。だから、その顔のこと、自分自身のことももっと大切にしてやれ』


『……』





店長の言葉が子どもの頃の記憶をよみがえらせる。




それはどうしようもなく落ちていた俺を少し引き上げてくれた。


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