【完】ヒミツの恋を君と。
* * *



転校してきてから1週間。

始業式のあの日から、あたしには毎朝の日課が出来ていた。



少し錆付いた鉄製の扉の前に立つ。

コンコンとカギの掛かったその扉をノックした。




「いる?」




そう尋ねて数秒後、ガチャとカギの開く音がしてその重い扉が開かれる。

その瞬間、空気も動かない、薄暗かった空間に、風と光が一気に舞い込んでくる。




「…今日も来たのかよ?」




その光の中には呆れた顔をした晴が立っていて。


今日も屋上は天気が良くて気持ちいい風が吹いている。




「うん、朝ごはん一緒に食べよう!」


「毎朝、毎朝、来るなよ!朝飯なら、教室で友達と食えばいいだろ?」


「あ、晴!もう食べ始めてるの?あたしが来るまで待っててくれてもいいのに!」


「…って、聞いてんのかよ!毎朝来んなって言ってんの」


「晴、今日はかつサンドあげるね」


「………」




あたしがパン屋の袋を掲げて見せると、晴は不本意な顔を見せながらも大人しくなった。


今日も絶好調にボサボサ頭の晴。






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