【完】ヒミツの恋を君と。
店長は俺のことを振り返ってから、少しだけ真面目な顔を作った。





「ハル、モカのことはどうすんの?」


「どうするって?」





平然と答えたけど、かなり動揺してた。





「モカ本人は隠してるつもりかも知らんが、あいつは分かりやすい。ハルもモカの気持ちに、そろそろ気付いてるんだろ?」


「……」


「ま、ハル、お前も分かりやすいよ。意外と、ヤキモチ焼きだったんだな?」





店長がそう言いながら、意味ありげに笑う。


すべてを見透かされてるのはなんだか悔しくて、目線を逸らせたけど、何にも言い返せない。




「この店で、お前の気持ちに気付いてねぇのはモカだけだ。ちょっと勘違いしてるが客もお前らの気持ちには気付いてるしな」


「思いっきり勘違いしてんだろ?」





店長はわはは。と笑いながら俺の顔を見る。





「付き合えば?お前らならいいカップルになりそうだけどな」


「…無理…だな、それは…」


「なんで?」


「巻き込みたくない…四六時中守ってやるのは無理だから…」


「……」





店長は俺の頭をぐちゃぐちゃにかき混ぜた。

でも、それ以上は何も言ってこなかった。



< 272 / 499 >

この作品をシェア

pagetop