【完】ヒミツの恋を君と。
それだけは絶対にさせない。




休憩室の扉を開けると、その音に反応した桃佳がイスから勢いよく立ち上がって、俺を振り向く。



真っ赤な目が心配そうに揺れている。


今の俺は、どうあがいたって、こいつにこんな顔をさせてしまうんだ。




気持ちを伝えることも、受け取ってやることも出来ない俺が、

ただ、祐樹と美月に関わるな。そう桃佳に言い聞かせることしか出来ない俺が、



どうやってこいつを幸せにしてやることが出来る?





無理だよ……。





正面に立った桃佳が俺の手を掴んで笑顔を作る。





「晴、行こう。一緒にグラタン食べよう」


「……」


「頑張っておいしいの作るから、楽しみにしてて!」





泣きそうな顔してるくせに、お前は俺から目を逸らさないんだな?

今日、あんなに怖い思いをさせたのに。



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