【完】ヒミツの恋を君と。
「晴待って!」


「え?」





気付いた時には晴を引き止める言葉を言っていた。





「帰っちゃだめ…」


「え?」


「ケ、ケーキ…みんなが作ってくれたのにまだ半分以上残ってるし!」





引き止めるためにもっといい言葉が思い浮かべば良かったのに。

不自然な理由に、晴もきっと驚いてるよ。







だって、怖いよ。


晴が今から帰える家には、祐樹先輩がいる。


またあんな風に殴られるかもしれない。


そう思うと怖い。

晴を家に帰したくない。





「…もしかして、心配してくれてる?」





晴はあたしのおかしな様子に気付いたのか、いつもより穏やかなトーンでそう言った。


優しい目をしてあたしを見る晴と目が合う。


胸がギュッとなった。



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