【完】ヒミツの恋を君と。
「大丈夫だよ。さすがに家の中では祐樹も俺に何かしたりはしないから」


「……」


「祐樹は自分の父親や、姉さんの前では、俺と仲の良い兄弟を演じてる」


「…なにそれ!」





見えない所を殴ってたのは、親にバレたくなかったからからなんだ?





「いいんだよ。俺もそっちの方がありがたい」


「どうして?それって祐樹先輩の思うツボじゃない?」


「俺と祐樹のことで、姉さんに心配掛けたくない。結婚は姉さんがやっと掴んだ幸せなんだから」


「…っ」





やっぱり家には帰したくない。

晴のお姉さんがこのことに気付いてない以上、晴を守れる人はそこにはいない。



あたしが守らなきゃ…。





や…違うのかな?

ふと、パソコンルームのあのシーンが脳裏によみがえった。




寂しい気持ちの時、辛い気持ちの時、晴がすがりたいのは、美月先輩なのかな?




あたしの中に、晴を守りたい感情と、美月先輩には渡したくないっていう感情が入り混じる。

混乱した感情は、あたしを驚くくらい素直にしてしまう。





「…桃佳?」





あたしは晴の首に手を回してギュッと抱きついてた。





「帰らないで、うちにいて…」


「……」





守りたいなんてあたしの想いは、晴にとっては迷惑かもしれない。


でも、怖い…。

いつか晴が壊れるんじゃないかって怖いの。






「ねぇ晴。一緒に暮らそうか?」




あたしは、そう口にしていた。


< 286 / 499 >

この作品をシェア

pagetop