【完】ヒミツの恋を君と。
でも、今は違うよ。


そんな風には思っていない。

優しい“春”の風を感じて、胸がぎゅっとなった。




「まぁ、晴は変わってるけど……」


「ほっとけ。後輩のくせに上から物言うな」




そう言って眉間を寄せた晴が、両手グーであたしの頭をぐりぐりした。




「痛い痛いよー晴!そ、そうじゃなくて!晴から見たらあたしは変わってるでしょ?って話だよ!」


「…は?」




あたしの言葉に、意味がわからない。と言わんばかりに首を傾げた晴。




「あたしからしたら、アイドルにキャーキャー言う女子の心理は分からないし、晴からしたら、朝何分も鏡の前に立ってる男子の気持ちは分からないでしょ?そんな理由からすれば、世の中みんな変わったヤツの集まりだよね……ってそう思わない?」




あたしの頭をぐりぐりしてた晴の手の力が緩んでいく。





私が言いたいこと、わかってくれたかな?


なんかいいことを言いたい気分だけど、もともと話すのが上手じゃない私にはそれは難しい。


珍しく真顔であたしの話しを聞いてくれた晴。



いや…無なだけなのかも知れない。

「だから?」って感じなのかもしれないけど。





「何が言いたいかって言うと!晴と友達になったら毎日おもしろいのにな。って、私は思ってるってことだよ」




上手くまとめられなくて、一番伝えたいところを半ばヤケの様に言ってしまったあたし。


そんなあたしを表情ひとつ変えずにジッと見ていた晴。





数秒の沈黙の後、晴がブファっと噴出した。



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