【完】ヒミツの恋を君と。
こんな時に、っていうか、こんな時だからか、晴とのキスを思い出してしまう。


経験ないから、それ以上の妄想は出来ないけど。




でも、あたしの名前を呼んだ、あの時の晴の切なげな声。

後頭部に回る手の温もり。



胸が痛くなるのに、息が苦しいのに、離れたくないと感じた唇の感触。



全部を一気に思い出してしまって、思いっきり首を振った。




これじゃ、まるで欲求不満の男子みたいじゃない?




店内の興奮がまだ冷めやらぬ中、お客さんが入って来たことを示す鈴の音が店に鳴り響いた。





「いらっしゃいま……」





なんとか、平常心を取り戻して振り向いたあたしの視界に飛び込んできたのは、





「こんにちはー。お久しぶりの塔子でーす!」





同じクラスの立花さんだった!


< 311 / 499 >

この作品をシェア

pagetop