【完】ヒミツの恋を君と。
ニッと笑った立花さんはカウンターの席の方に向かって歩いていった。



慌てて晴を見上げると、あたし達の会話が聞こえてたらしい晴はびっくりした顔をしてて、もしかして晴って…、





「立花さんが同じ学校だって知らなかったの?」


「あぁ、知らなかった。知ってるのは、トウヤさんの妹で、店長のいとこってことだけだった」


「えっ!?トウヤさんの妹!店長のいとこ!?」





あたしの声が店内にこだますると、店長と、トウヤさんと、立花さんがこっちを振り向いて手を振ってきた。


そ、そうなんだ!



トウヤと塔子……そう言えば名前はそっくり。

顔も少し似てる。


しかも、店長といとこってことは、トウヤさんと店長もいとこってこと?


全然知らなかった。




世間は狭いって言うのか、予想外のつながりにびっくりしたけれど。

何だろう?結構嬉しいかも。





「お前、いい友達出来たんだな?」





晴があたしを見てる。

その表情は、穏やかな表情で。


この学校に来て、晴の次に出来た友達を、晴にほめてもらったら、嬉しくなる。





「うん!いい子だよ。一緒にいると居心地いいし」


「良かったな」


「うん!」





晴の一言は、あたしの“嬉しい”とか、“楽しい”とか、“幸せ”をもっと色付かせてくれる。




晴と一緒に過ごす夏休みは、幸せすぎて、怖いことも、辛いことも、全部終わったんじゃないかと錯覚してしまう。






このまま、夏休みで時間が止まってしまえばいいのにな。



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