【完】ヒミツの恋を君と。
紺・黒・グレー・ベージュの浴衣が帯と共に店のテーブルの上に並べられてく。


男の人の浴衣だ!





「あれ着て、あの人達と歩いたら目立つから…」


「あぁ…そっか」





そりゃ、こんなイケメンメンバーが更に浴衣なんて着て、更に並んで歩いてたら嫌でも目立つよね。


店長とかトウヤさん、リツキさんはそれを好んでそうだけど。


晴は、実のお父さんに似てる自分の容姿をあまりよく思ってないから、目立つことを極端に嫌がってる。





「ねぇ晴、嫌なら帰ろう」


「や、いい。大丈夫」


「…晴が行きたくないなら家にひとりで帰っててもいいんだよ」


「……大丈夫だって言ってるだろ?」





晴とお祭りに行けるなんて夢みたいだし、

晴の浴衣姿なんて、想像するだけで鼻血が出そう。


だから、すっごく行きたいけど…。




多分晴は気を使ってる。


ひとりであの家に帰るのは悪いって思ってる。

あたしの一人暮らしのあの部屋は、今は2人の部屋だからひとりで出入りしてもらっても別にいいのに。




晴は鍵を持とうとはしない。


なんだか、線引きされてるようで、それが少し寂しい。



< 317 / 499 >

この作品をシェア

pagetop