【完】ヒミツの恋を君と。
「ハルー素直にモカと祭りに行きたいって言いなよーまったくめんどくせー男だよお前は」


って、店長が。


「ハルくん照れてるんですね…」


って、リツキさんが。


「素直に俺も行きたい。って言わなきゃモカだけ連れてっちゃうよ。ま、素直じゃないところがハルの可愛い所だねー」


って、トウヤさんが。





え?晴はあたしとお祭りに行きたいって思ってくれてるの?


飛び上がるほど嬉しくて、顔を跳ね上げたのに、そこには恐ろしいくらい怖い形相をした晴がいて。


さーっと血の気が引いていく。

みんなは晴のこの顔をどういう角度から見て、晴が行きたいって思ってるって錯覚したのか不思議。




「ハルさんそりゃ心配ですよね?あんな野獣どもの中に、可愛い子羊放り込むなんて、あたしが彼氏なら絶対イヤー。あ、ハルさんはそこの黒い浴衣着てくださいね」


「……」





立花さんはいつの間にか背後にいて、あたしを後ろから抱きしめる様な姿勢で晴に話しかけていた。


ってか、彼氏じゃないって!


晴は、みんなから言いたい放題言われて、不機嫌が更に増した様な表情のまま、黒い浴衣が置いてるテーブルの前に向かっていった。





「さ、吉丘さんはこっち」


「え、あ……!?」





晴──っ!


晴の機嫌がどうなのか不安な状態のまま、立花さんに引っ張られて連れてこられたのは裏にある更衣室で。


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