【完】ヒミツの恋を君と。
その笑顔に、一瞬、体が固まるような感覚を覚えた。




「慰めてくれてるの?」


「いや、そう言うわけじゃ…」


「桃佳のくせに生意気」


「へ……」




そう言って、晴が目を細めて笑う。

優しく緩むその表情。





こんな風に笑う顔は初めて見た。


だから、その目から目が離せなかった。





そして耳に心地良く響いた低い声。



桃佳──





晴に名前を呼ばれるのも初めてで。

その声が耳から溶けてあたしの体に入ってくるような。



そんな不思議な感覚を覚えた。



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