【完】ヒミツの恋を君と。
大勢の中に入ると、晴は自ら影を消してる?




『友達なんているわけないだろ?』


そう言った時の顔は寂しそうとか、悲しそうとかじゃなくて、無表情だった。





もしかして、晴は友達なんていらないって思ってるの?


気になり始めたあたしは、ジッとなんてしていられなくて、そのまま、晴の尾行を始めていた。



今から家に帰るのかな?

あ、毎日塾がある。みたいなこと言ったよね?



そんなことを考えながら着いたのは学校の最寄の駅のホーム。


晴はホームに並んで電車を待っている。


あたしは見付からない様に、隅っこで、気配を消して晴の後ろ姿を見ていた。




まさか、自分の人生の中で、誰かを尾行するなんて思っても見なかった。


まるで漫画や小説の世界!




あぁどうしよう。

そう思うとワクワクしてきた!






にしても、晴は不思議なことだらけ。

この尾行で新たな、なにかがわかるかな?




晴に尾行が見付かったら、多分ただじゃ済まされないような気がする。

それなら今の内に声を掛けてる方が懸命だとも思うけど…。




このまま隠れて晴を見ていたい。

本当の晴が見れるような気がするから。







あ、電車が来た!

晴が乗り込むのを確認してから、晴が乗った車両の隣の車両に飛び乗った。



これは1人暮らしの我が家方面に向かう電車。



晴はどこで下りるのかな?


晴が乗った車両の近くの席に座り、ガラス越しに晴の姿を確認する。




サイドの窓に背を向ける様に設置されてる座席。


その一番端に座ってバッグの中から本を出して読んでいる。











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