【完】ヒミツの恋を君と。
「お似合いだねー」





え!?あたしと晴が?

おじさんにはそんな風に見えるの??


もうこの際その言葉が、リップサービスでも営業でもなんでもいい!


涙が出るほど嬉しくて、おじさんを見つめると、おじさんがあたしにニコッと笑いかけてくれた。


そんなやり取り中に、水槽の中を覗いてた晴がおじさんに話し出した。





「おっちゃん…あんまこいつのことジロジロ見ないで欲しいんだけど」


「え?」


「俺のだからね……」





晴はそう言うと、ポイを水の中に斜めに差し込んで、ほんの数秒で金魚を1匹すくってみせた。

その後、すぐまた差し込んだかと思うと、2匹目もあっという間にすくってしまう。


ポイはまだ全然破れてない。




晴が取った金魚が2匹容器の中で泳いでいるのに、あたしは喜びの声も上げることが出来ず呆然と立ち尽くしていた。



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