【完】ヒミツの恋を君と。
『俺のだからね』





その言葉が頭から離れない──





「なぁ、何匹いる?」


「え…あぁ、2匹がいい」


「じゃぁ、おっちゃんこれちょうだい」





おじさんが金魚を紐付きの袋に移してくれる。


晴は、あんなこと言ったのに普通で。


『俺の』って、どういう意味?




そもそも、大して意味なんてないのかも。

カップルのふりしただけとかかもしれないよね。



晴の“普通”はきっとそれを示してる。


でも、分かってても、どうしようもなく胸が熱い。



おじさんから金魚を受け取った晴は、またあたしの手を繋いで歩き始める。





「帰るか、今ならまだホームセンターに間に合う」


「う、うん」





手が温かさで包まれた瞬間、頬まで熱が上がってくる。



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