【完】ヒミツの恋を君と。
美月先輩を前にして何を考えてる?




「ねぇ、……彼女は誰?」




美月先輩が、視線をずらして、あたしを覗き込む。


…そっか、美月先輩は、あたしだって気付いてないんだ。



晴の教科書を教室に届けた日に一度顔を合わせてる。


でも、少しの時間だったし、今日はいつもしてないメイクをしてるから分からないのかもしれない。




「バイト先の先輩の妹」




その答えにドクンと胸がなった。

晴は美月先輩とあたしを会わせたくないと思ってる。


だから嘘を吐くとは思ってたけど、実際にその嘘を晴の声で吐き出されるのを、聞くのは辛かった。



「…そうなの?」



美月先輩の声は、晴の答えにまだ納得してないように聞こえたけど。


でも、それ以上は、あたしについて何も聞いてこなかった。


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