【完】ヒミツの恋を君と。
「それ、その金魚……」


「……」





美月先輩は晴の手にある金魚の袋を指差す。





「懐かしいね。中学の時、晴くんと祐樹くんと3人で行ったお祭りでムキになって何匹もすくったよね」





晴の金魚すくいの思い出、そこには美月先輩もいたんだ?


美月先輩と晴はそんなに前からの知り合いなんだ?



胸がチクッと痛んだ。





「……覚えてねぇ」





晴はそう言ってから歩き始めた。


あたしも慌てて、その背中を追う。



晴の嘘吐き!

覚えていないなんて嘘じゃない…。



嘘なんて吐いて欲しくなかった。




美月先輩のことなんとも思ってなかったら、嘘なんか吐かない…よね?



どうしようもなく胸が痛いよ。



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