【完】ヒミツの恋を君と。
振り向くと、美月先輩がまだ晴を見てた。

その切なげな目がまたあたしの胸を苦しくさせる。




美月先輩はあたしの知らない晴をいっぱいいっぱい知っている。


美月先輩と晴が過ごした時間は、あたしと晴の時間よりもはるかに長い。





2人が想い合ってるのなら…




晴を守れるのは、

助けられるのは、



あたしじゃなくて美月先輩なんじゃないのかな?





「……痛いな」




あたしの呟きに晴が振り返る。




「悪い…早く歩き過ぎた?」


「ううん、違うの…」


「…え?」


「なんでもない。行こ…」




痛いのは足だと晴は勘違いしてる。



違うよ。

胸が痛いんだよ。



晴の手に自分の手を伸ばしてギュッと握った。


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