【完】ヒミツの恋を君と。
「元気に泳いでるなぁ…可愛いな…」





晴との思い出を持って帰りたくて、連れて帰ってきた金魚。


でも金魚には、晴も思い出を持っていたんだね。



ふと、祐樹先輩に殴られてた晴を思い出して震えた。


でも、晴はあんな酷いことをされても祐樹先輩のこと嫌いになりきれてない。



それどころか、大切に思ってるんじゃないかと思う。

楽しかった過去の思い出ごと、祐樹先輩を大切に思ってる。



そんな気がする。



もしかしたら美月先輩のことも、祐樹先輩に遠慮して諦めてる……とか?



ため息が零れたと同時に、部屋の扉がノックされて、ビクッと体が跳ねた。





「水槽、用意出来たけど?」





扉の向こうから晴の声が聞こえる。





「あ、うんうん!今行く!」





慌てて部屋から飛び出したあたしを見て、晴が不思議そうな顔をする。
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