【完】ヒミツの恋を君と。
ドキッと胸が飛び出すかと思った。


そんな、愛おしいものを見つめるような目で見ないでよ。

そういう顔に、勘違いしてしまうんだから…。




「そ、そ、そうだ!エサあげよう!」




動揺を隠す様にエサの袋を握り締めたあたしの手を晴が掴む。


触れられてまた、ドキっと胸がなった。




「な、な、なに?」


「2,3日エサやるなって店の人が言ってたろ?」


「えっ!?そうだっけ?」


「…説明してもらっただろ?お前、なに聞いてたんだよ」


「…いや、あ、あの……」




まったく聞いてませんでした。


そんなことは言えなくて、笑顔を顔に貼り付けてごまかした。



水槽と袋の中の水温を合わせる方法も、最初の数日はエサをやっちゃダメなのも、店の人に教えてもらってた、らしい…。




「お腹空かないかな?」


「お前なら3日も食べなかったら死んでるだろうけど、金魚は大丈夫だってさ」


「晴なんて1日食べなかったら死ぬでしょーが?」


「俺は1食たりとも抜けねぇな」




そう言って笑う晴は普段と何にも変わらない。


その笑顔に、落ちてた心がほんの少しだけ戻ってきた様に感じた。
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