【完】ヒミツの恋を君と。
自分がどんな格好してるか分かってるけど、今はどうしても怖くて動けない。




「晴、明かり消して…」


「え?」




驚きながらも、晴はあたしの言うとおりに非常灯の明かりを消してくれた。


明かりを消して、晴にくっついてたら、下着姿を見られることはない。って思ってた。

テンパってたこの時のあたしはそれくらいしか考えられなくて。

ほぼ裸を晴に密着させてるとんでもない事実は頭から完全に抜け落ちていた。



晴を抱きしめる手を強めると、晴の温もりと、匂いがあたしを包む。



晴の心臓の音?
あたしの心臓の音?


2人の音?



早いリズムで打つ心臓の音も心地よく聞こえる。






真っ暗で視覚を奪われてる分、他の感覚がとぎすまされていく。



温もり
匂い




晴のそれに包まれてると、雷が怖くてこわばってた体が溶かされていくのを感じる。


まだ停電は続いてるけど、雷の音がどんどん小さくなって、雨音も少し弱まってきた。





恐怖心もなくなってきて、本当ならもう離れられる……けど。





まだこのままでいさせて。


その気持ちが強くて、あたしは晴から離れられないでいた。





「晴……」





顔をうずめてる首元で、そう囁くと、晴の体が少しビクッと反応する。



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