【完】ヒミツの恋を君と。
でも、信じたいと思う気持ちも強くある。


あの日、晴は暗闇の中で何度も『桃佳』って呼んでくれた。

それは真実だから。



でも、考えれば、考えるほど、悪い方にしか考えられなくて、

考えても、考えても、晴の気持ちは分からなくて、



晴しか、あの時の本当の気持ちは分からない。

そんなの当たり前のことなのに、それでも晴に真実を聞く勇気なんてなくて、あたしにはひたすら考えることしか出来なかった。






夏休みも後1週間になった日。


あたしが一番来て欲しくなかった日は急にやってくる──




「俺、そろそろ家に帰るな…」


「…え?」




いつも通り、向かい合わせに座って勉強してた時に、急に真剣な顔をした晴がそう言った。


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