【完】ヒミツの恋を君と。
「じゃあな…」


「ん…」


「なんて顔してんだよ」





そう言いながら、あたしを見る晴が少し困った顔をしてる。


あたしはどうやら相当、酷い顔をしてるみたいで。



祐樹先輩が晴に向ける、歪んだ表情を思い出して、不安で怖くて、体が震える。


それなのに、晴を引き止める事も、守りきる事も何も出来ない。


そんな無力な自分がイヤになる。




落ち込むあたしの頭の上に、晴の大きくて温かい手が置かれた。





「またな、始業式の日、屋上で待ってるから」





あたしの顔を覗き込んだ晴はそう言って、温かい言葉と笑顔を残して、帰っていってしまった。



ガシャンと扉が閉まる無機質な音が部屋中に響く。


一気に静かな空間が広がった。





「また、1週間後屋上で会える!」





呟いて、気持ちを盛り上げてみるけど。


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